2021.04.11

運営部のオススメする絵本「ママ」

Haru運営部のオススメする絵本コーナー
今日のオススメは「ママ」

「ママ。」あなたがこの言葉を口にしたとき、どんな想いが胸に広がりますか?

 

絵本の中表紙に書かれたこの言葉に、今から読み始める気持ちに心がさわっと揺れました。絵本は赤ちゃんが誕生した絵から始まります。そしてその赤ちゃんは初めて「マンマッ」って言葉を言うところから、成長していくごとにその「ママ」と言う言葉が変化していきます。様々なシーンの中で出てくる「ママ」って言葉に、我が子との生活のシーンに当てはめているとじわじわ涙が出てしまうのです。ママを見つけた時、起きた時、ご飯の時、甘えた時、怒った時、自分が母になり老いたママを呼ぶ時、心配する時、自分が生きてる中で「ママ」を何回呼んだだろう。

 

この本に出てくる言葉はたったひと言。「ママ」だけ。多くを語らない絵本はメッセージ性が強く深いです。それは読む人の感じ方次第で変わるから。私が読んだ時に感じることとあなたが読んだ時に感じることはきっと違います。あなたの中にいるママをきっと思い出すことができるはずです。

 

この絵本の作者であるカン・ギョンスは1974年韓国ソウル生まれ。漫画家として10年活動し、絵本の世界へ入ります。2011年『うそのような話』でボローニャ・ラガッツィ賞ノンフィクション部門優秀賞受賞しました。炭鉱トンネルやカーペット工場で働く児童労働者の辛い現実を描き、子供の人権を訴える社会派作品です。シンプルな画風の中に、ドラマと哲学を忘れないようにしている大人の絵本作家であることを感じます。それゆえに「ママ」に込められた思いは、無償の愛への感謝の心を未来に伝えることなのでしょう。出生率低下の韓国と日本ではありますが、絵本「ママ」の表紙の帯に仕掛けられた小さな魔法に心が温かくなります。どんな仕掛けがあるのかが、ぜひ手に取って確認して欲しいです。

 

今日も「ママ」と呼んでくれる我が子を見つめて、そう呼びかける人がいる幸せをかみしめてください。

 

参照サイト:https://www.nagaokashoten.co.jp/mama/

著:カン・ギョンス
出版社: 永岡書店